8月12日 朝

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8月12日 朝

8月12日 朝 第76振武隊出撃の日 第76振武隊隊員の出撃を僕達は手伝っていた。 出撃する隊員と接する時「さよなら」を言わない事が暗黙の決まりになっていた。 いつもと変わらないように接し、冗談混じりの楽しい一時を過ごしていた。 なのに… 「第76振武隊!!配置につけ!!」 聞き慣れた声、聞きたくも無い声 父…いや、猪飼大尉の号令だ… 僕は本当に彼を嫌った。彼がいなくても僕や友達が出撃しなくてはいけない事実は変わらない。 頭では分かっているがやはり、嫌悪の念が沸いてくる… 「やべぇ、大便行きてぇ!!」 今から出撃する76隊の波多野君の声だ。 「でも、今から大便なんていったら出撃遅れて大尉怒るよなぁ…」 僕は心が張り裂けそうだった。 みんな、僕と父が親子だと知っている。 だが、そこはみんな気を使ってくれている。 「えぇい!!このまま米軍の船に突っ込んじまえ!!腹にもう一つ爆弾抱えて言ってやるぅ!!」 波多野君が叫んだ時みんなが笑った。 「何してやがる!!早く移動しろ!!」 和んでいた空気を一気に冷めさせるあの声…また、猪飼大尉だった… そして、ついに76隊が、波多野君が、笑顔で飛び立った。 「波多野、結局大便行け無かったな」 笑いながら大志が僕に話しかけた。 「うん…」 他に言葉がみつからなかった… 周りにいた奴達はみんな笑っていた。 しかし、笑いが終わった後、何故か、みんな寂しげな顔をしていた…
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