16人が本棚に入れています
本棚に追加
分かっている。
どちらの気持ちも、全て分かっている。
そしてそれに対する自分の気持ちも。
ただ一つ分からないのが、それらを総合して自分がとるべき行動だ。
(店長は……分かってるんでしょうね、きっと)
それでも何も言ってこないのは、自分で解決しろという彼なりの親心か。
彼女は彼しか見ておらず、
彼は私しか見ていない。
私は二人を見ていて、二人とも大事だから。
二人が動かないのをいい事に、
このぬるま湯に浸かっているような状態を少しでも持続させようとしている。
何もしなきゃ、ぬるま湯なんてすぐに冷めちゃうのにね。
(随分と臆病になったものだわ)
私は眉を寄せ、クスリと笑った。
「主ぃいぃっ、助けてぇぇえぇえ!!!」
「蓮華、そろそろ寝る時間よ?」
「こっちはしっかりオロしとくから、お前は早く寝な!」
「……(ごめん、リンちゃん)」
始まりの思惑編 完了
最初のコメントを投稿しよう!