少年少女の願い編:いつかは朽ち果てる

6/7
前へ
/68ページ
次へ
「知るかぼけぇ!!」 「グフォ!」 隠れるように手を添えながら 顔を近づけてくる男が無性にムカついたので、 これ以上話題が流れないうちに一発殴っておく。 ていうか、なんでそこで奇声を上げて吹っ飛ぶ、男。 あんた実体ないだろ。 あたしの拳にも手応えなかったぞ。 「いや、そこはノッとかんと白けるやん、場が」 その場の雰囲気をそこまで大切にしますか。 友達に一人は欲しいタイプだねコノヤロー。 「もう、いい……」 とうとうあたしはこの男と会話することを諦めた。 「あんたが何者かとか、そういう常識的な謎を追求するのは止めるわ」 「ほぉ、なんも分からん内に願いを叶えさせるか。 チャレンジャーやな」 男は感心したように腕を組むが、そのセリフは間違ってる。 誰がそんな豪胆な真似をすると言った。 「幸い身近にこういう不思議系に弱いバカがいるから、 うまく言いくるめて…… 二束三文で売ったたく!」 「はあ?!」 あたしの考えが気に入らなかったらしい、男は途端にあわて始めた。 「ちょお待ちぃ、俺はあんたの腕やから箱を開けさせてんぞ! 大体二束三文で売ったたくってなんや、俺そんな安ぅないて!」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加