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「知るかぼけぇ!!」
「グフォ!」
隠れるように手を添えながら
顔を近づけてくる男が無性にムカついたので、
これ以上話題が流れないうちに一発殴っておく。
ていうか、なんでそこで奇声を上げて吹っ飛ぶ、男。
あんた実体ないだろ。
あたしの拳にも手応えなかったぞ。
「いや、そこはノッとかんと白けるやん、場が」
その場の雰囲気をそこまで大切にしますか。
友達に一人は欲しいタイプだねコノヤロー。
「もう、いい……」
とうとうあたしはこの男と会話することを諦めた。
「あんたが何者かとか、そういう常識的な謎を追求するのは止めるわ」
「ほぉ、なんも分からん内に願いを叶えさせるか。
チャレンジャーやな」
男は感心したように腕を組むが、そのセリフは間違ってる。
誰がそんな豪胆な真似をすると言った。
「幸い身近にこういう不思議系に弱いバカがいるから、
うまく言いくるめて……
二束三文で売ったたく!」
「はあ?!」
あたしの考えが気に入らなかったらしい、男は途端にあわて始めた。
「ちょお待ちぃ、俺はあんたの腕やから箱を開けさせてんぞ!
大体二束三文で売ったたくってなんや、俺そんな安ぅないて!」
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