プランク*joker

名前はまだ無い

｢……死にたい｣

びっくりした。
それはもう、色んな意味でびっくりした。

ランプの精的な物に出くわした時、即答でそんな願い事するか？
普通。

｢それは無理だ！｣

｢なんで？
なんでも叶えるって言ったじゃない｣

｢お前が死んだら私も死ぬ！
そんな願い事はできん！｣

しとしと。

雨が降る。
灰色に濁った空は視界を悪くする水滴を落とし続け、
目の前に横たわる少女に絶え間なく降り注いでいた。

今数千年ぶりに外界に出た私には、
少女が泥だらけの擦り傷だらけな理由も分からなかったし、
その右足があるはずの場所に金属の棒がついている理由も分からなければ、

彼女の顔を伝う物が雨なのか涙なのかすらも分からなかった。

そして、私達を取り囲む男達の事も。

｢私が死ねばあなたも死ぬの？｣

私の叫びに少女は反応した。
慌てて首を縦に振る。

｢なんでもいい、それ以外の願いを言え！
そうすれば私はとりあえずお前を守れる！｣

しとしと。

雨は私に触れずに通り抜ける。

男達はなんだか黒光りのするヤバげな武器を持っているし、
これは明らかに私が少女を守らねばまずい事になる。

少女はむくりと身を起こし、私と向き合った。