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そして戦っている間、私は悟った。
この少女は強い。
私が何千年生きていようが
かなわない、と。
男達がいなくなった後、私は少女の前で自然と膝をついていた。
「全てが終わりし時まで、私はあなたを……」
言いかけて、止めた。
少女は依然として私をじっと見ていたが、
その目が少しばかり揺らいだからだ。
その動作は私が願いを言えと叫んだ時にもしていたので、
原因は容易に想像がついた。
嫌なのか。
『守りたい』と言われる事が。
「…………私はあなたの家来となりましょう。
あなたと共に消える日まで、
この体全てをあなたのお好きなようにお使い下さい」
元より『死にたい』と願う人間に
出会ってしまった時点で、私の運は尽きた。
そう言うと、少女……いや、主はくすりと笑った。
「確かにそうかもね。
うん、それじゃあ私の家来さん、
帰ろうか」
主は私の手を取ると、歩き始めた。
右手には傘、左手には私の手。
私が出てきた箱もお忘れなく。
主は傘を開かないのだろうかと思っていたら、
いつの間にか雨は止んでいた。
「ねえ家来さん、ケーキは好き?」
「……けえき?」
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