を々、愛しき化け物

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「おかえりなさい、蓮華。 その方はどちら様かしら?」 さすがと言うべきか、凪はすぐ正気に戻り、冷静に対処していた。 「リンちゃんだよ」 蓮華、違う。 俺達が知りたいのはその人の名前じゃない! 笑顔の蓮華にそうつっこみたかったが、 きっとまた意味不明のセリフでかわされるだろう。 蓮華は天然だから。 「蓮華よ、まずはその服着替えてきな。 話はそれからだ」 俺の言う事にもっともだと感じたようで、蓮華は裏口に傘を置いて自分の部屋に入っていった。 ところが、蓮華の後に西洋の騎士(仮)もついていこうとしたので、 「お前はそこに居ろ」 と丁重にお断りさせていただいた。 蓮華が去った後 雰囲気の変わった俺達三人の視線を一心に受けて、騎士は少々ひるんだようだ。 そりゃまあ蓮華が去った途端、 凪は後ろ手に包丁構えたし、 誠司は指鳴らして臨戦態勢だし、 俺はと言うと戸棚に入ってた銃(憲法違反になるのでエアガンだ)取り出したからな。 「蓮華に聞いても埒があかねぇのでお前に聞くが……」 誤解しないように言っておく。 このケーキ屋はまっとうな人間が経営している、今はな。 「返答次第じゃただじゃおかねえ」 騎士の体が震えた。
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