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「すまぬ…すまぬ佐助……お主の顔…さえも見えなく…なってきておる…」
ガタガタと震える手で佐助の顔に触れる
それに答えるように佐助は手を添える
なんで……
なんで…
やっと…
やっと
数日前に想いが通じたのに…ッ
やっとアンタと一つに成れたのに…
『旦那☆帰って来たら茶屋に行こうよ旨い店見つけたんだよね~』『慢心するでないぞ佐助!…でも茶屋は行く』
って…………
………………………
「ハハ…戦が…始まる前に約束したじゃんか…」
「…佐助が言ってた茶屋…行…きたかった…で…ござるなぁ」
言い終わると同時に幸村の口からは黒に近い色の血が溢れた
「!!!旦那ッ」
「さ…すけ?我が儘い…っても…?」
「旦那の…頼みなら喜んで」
「某…を名…前でよ…ん…で…く…ち…けを…」
佐助に焦点のあっていない瞳で微かに微笑む
「ゆ…きむら……」
「幸…むら……
幸村、幸村…ッ」
頬を触れている幸村の手を握りしめ幸村と唇を重ねる
「さ……け…ぁ………りが…と…………また……違う…世界…で……待っ…ておる…ぞ…」
幸せそうに微笑んででゆっくり瞼を閉じてゆく
佐助に触れていた手も力尽き徐々に床に落ちていく
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