虚無~………

4/7
前へ
/7ページ
次へ
「すまぬ…すまぬ佐助……お主の顔…さえも見えなく…なってきておる…」 ガタガタと震える手で佐助の顔に触れる それに答えるように佐助は手を添える なんで…… なんで… やっと… やっと 数日前に想いが通じたのに…ッ やっとアンタと一つに成れたのに… 『旦那☆帰って来たら茶屋に行こうよ旨い店見つけたんだよね~』『慢心するでないぞ佐助!…でも茶屋は行く』 って………… ……………………… 「ハハ…戦が…始まる前に約束したじゃんか…」 「…佐助が言ってた茶屋…行…きたかった…で…ござるなぁ」 言い終わると同時に幸村の口からは黒に近い色の血が溢れた 「!!!旦那ッ」 「さ…すけ?我が儘い…っても…?」 「旦那の…頼みなら喜んで」 「某…を名…前でよ…ん…で…く…ち…けを…」 佐助に焦点のあっていない瞳で微かに微笑む 「ゆ…きむら……」 「幸…むら…… 幸村、幸村…ッ」 頬を触れている幸村の手を握りしめ幸村と唇を重ねる 「さ……け…ぁ………りが…と…………また……違う…世界…で……待っ…ておる…ぞ…」 幸せそうに微笑んででゆっくり瞼を閉じてゆく 佐助に触れていた手も力尽き徐々に床に落ちていく
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加