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「いくら探したって、無いものは無いのさ…」
「…まだだよ、まだ、なんだ…」
日陰を探す様にして路地裏に蠢く影が二つ。
一つは“灰色”
そしてもう一つは、夕陽の様な“橙色”
「んーいい加減さぁ、帰ろって~」
今にも座り込みそうな弱々しい声音で呟く橙色は
背中を向けたまま前を早歩きする灰色を見やる。
「まだだめです。気配は残ってる、きっと近くにーー」
灰色は後ろを振り返りもせずに
早口にまくしたてた。
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