プロローグ

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   何だかとっても疲れてしまった。  このまま眠ってしまおうか……。  そんな考えが頭をよぎる。  だけど、課題は山積みなのに、しなきゃならない事からの逃避。  だから、部屋を出て街へと向かう。  刺激が欲しかった。  だけど、天気は今一つ。  どんよりと厚い雲が立ち込め、今にも雨が降りそうだ。  傘を持って来なかった事を少し後悔するけど、考えてみれば邪魔になるだけだ。  雨が降れば、その辺のコンビニで傘を買えばいい。  だって、誰も傘なんか持ってないんだからさ。  そんな中に、俺一人だけが持ってるなんて、可笑しいだろう?  子供の時から、人と違う行動はしない。  それが俺のモットー。  周囲と違うだけで、簡単に虐めの対象になってしまう時代だからこそ、自分が浮くような真似はできなかった。  集団生活大嫌い、周りに合わせるのも嫌い。  だけど、虐めの対象になりたくないだけで、自分を偽り続けた学生時代。  それは大人になった今も変わらない。  変えたいと思っていたけど、変え方はとっくに見失ってしまった。  そのせいか、今の俺は半分引きこもりの生活だ。  友達なんて呼べる奴は一人もいない。 上辺だけの付き合いだったから、卒業と同時に自然消滅。  寂しいとは思わない。  逆に清々した。  きっと煩わしかったんだな。  今だから、そう思う。  
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