プロローグ

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   それがコンプレックスだ。  今の所、それぐらいしか思いつかない。  大して紹介するような内容でもなかったが、いいか。  深く物事を考えないのは、長所の一つだと自分では思っている。  日暮れと天候の悪さが重なり、窓の外は真っ暗だ。  かなり乗っていたはずの乗客も、今は俺を含めて三人ぐらいしかいない。  『次は終点××。お忘れ物のないように、ご注意願います』  二度繰り返す機械の無機質なアナウンスが、狭い車内に流れる。  それから僅かな時間で、バスは終点で停車した。  運賃を支払って、バスから降りた俺は、思いっきり背伸びをする。  ずっと座っていた身体は、それだけでほぐれる。  さてと、どう散策するかな。  最初の交差点で左右を見回し、俺は直進することに決めた。  それが、俺の人生を大きく狂わせる事になるんだ……。  
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