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家に帰ると少女はあわてた 母親が倒れている 「ママ!!」 急いで救急車を呼び病院に運ばれた 少女は必死で願う 《死なないでママ!》 しばらくすると医者が少女の元にきた 「お父さんは連絡つくかな?」 「父はいません、母と私だけなんで、、」 「そっかぁ、じゃあ、君に話さないといけないね」 「先生!ママは?大丈夫なんですか?」 「倒れたのは、過労と心労が原因です、ただ、、」 医者が少し間をおいた 「ただ、、?」 少女が聞き返すと医者は話をつづけた 「脳に腫瘍がみつかりました、まだ詳しく検査しないといけませんが、後日、手術をしないといけません、難しい手術ですので、後遺症が残る可能性もありますし、、、お金はいろいろとかかります、、どうしますか?」 しばらく考えた もちろん、ママには生きてほしい、でも、お金がない!頼るあても、中学生の私に貸してくれるとこなんてない!どうすれば、、、 少女はハッと気付き、ポケットの中の名刺をみた 今日、父親となのったあの男の名刺だった 男に電話をすると、すぐ駆けつけてきた 「美咲は?美咲は大丈夫なのか?」 男の慌てぶりをみて、少女は確信する 《この人、ママのこと、愛してるんだ》 そう考えると別の人と結婚したことや、男に対しての母親の怯え方が不可解でたまらない 「あの、お、おじさん、」 お父さんとは呼べなかった 少女は、母の様子を男に話した、そして、お願いをする 「ママの手術代、払えないんです、手術しないとママは死んじゃうかもしれないんです、、その、、お金を、、貸してもらえないですか?」 「わかった、私が払おう」 男はすぐに返事をしてくれた 「ただし、条件がある!」 「条件、、?」 「私の娘として、これからは過ごすんだ!君には、うちの跡とりになってもらう」 ママと一緒にいられなくなる そんなの嫌だ 嫌だけど ママを救う方法はこれしかない ママは、私が救う! 少女は覚悟を決め、うなずいた 男は医者の元に歩いていき、事情を話し、紙にサインをした これで、ママは助かる! 嬉しいはずなのに、ママと過ごせないことが淋しくて少女は静かに泣いた
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