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「除晃殿、これからどうするのですか?」
乗馬訓練をしますか?と聞くと、除晃は首を横に振り何か言い出そうとするが、なかなか言えないでいた。
「除晃殿?」
「その……」
「?」
「一緒に……茶屋に行きませんか?」
「茶屋ですか?」
「嫌でしたら…稽古で…」
「いえ、せっかくのお誘いを断ったりしませんよ?」
「誠にござるか!?」
「はい!」
除晃は心の中で喜んだ。男二人で茶屋など、稀犁が嫌がると思っていたからだ。彼が幸せにしばらく浸っていると、稀犁は朱雀を馬小屋に戻して来ると話した。
「ブルルル…」
「朱雀?小屋に帰るぞ?…朱雀?」
いくら稀犁が手綱を引っ張っても、彼女は歩こうとしなかった。どうやら除晃が稀犁を茶屋に誘ったのがわかったらしく自分の小屋に帰るのを拒否していた。
「朱雀~~…ふぅ…小屋に……」
「稀犁殿、朱雀も一緒でいいですぞ?」
「え?…ですが…」
「朱雀はきっと仲間はずれにされると思っているのでしょう…それなら朱雀も一緒でいいでござる」
「除晃殿…すいません……よかったな朱雀?」
「ブルル…」
頭を振りながら喜ぶ朱雀に手をのばして頭を撫でる稀犁を見て、除晃は可愛いと思いながら少し見とれてしまった。朱雀は稀に見る美しい馬なので稀犁といると、とても絵になっていた。
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