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彼女が宣言するとクルーの間にどよめきが走った。
だが港は潰され他艦の増援が望めぬ限り、自分たちが掩護(えんご)に向かうしかない。
デュランダル議長は彼女と目が合うと苦渋の表情を浮かべ頷き返した。
「頼む…タリア。」
タリアは強く頷き返し再び席についた。
「ミネルバ、発進シークエンス スタート。
本艦はこれより戦闘ステータスに移行する。」
発進シークエンスが始まり、タリアは振り返りデュランダルを促(うなが)す。
「議長は早く下船を、」
「タリア、とても残って報告を待っている状況ではないよ。」
しれっとした顔で返答した。
と、そこに新たな人物が入室してきた。
着ている軍服は赤。
鮮やかに映える紅蓮の髪。
胸に光るは白い羽を象ったフェイスの紋章。
そして鈍く光る血に飢えた赤黒い瞳。
ここに居るはずのない人物がブリッジに姿をみせた。
ブリッジに入ったリツキは一斉に視線を受けた。
しかし、情況が情況なだけに気にしてばかりはいられなかった。
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