゜PHASE 01

2/10
前へ
/17ページ
次へ
「落ちろォォォッ!」 シンは叫びながら、フォースシルエットに換装した《インパルス》を駆って《ガイア》に迫った。 そのとき背後から強烈な熱線が放たれる。 MA(モビルアーマー)形態に変化した《カオス》が背部ビーム砲、兵装ポッドビーム砲をいっせいに発射したのだ。 が、それらのビームはシンを標的にしたものではなかった。 外壁の一点にすべてのビームが集中する。 さっきから《ガイア》の砲撃を受け続けていた自己修復ガラスが、ついに熱に耐えかねて融(と)け落ちた。 ―――しまったッ…! ぽっかりと空いた穴の向こうに宇宙が見えた。 付近は急速に減圧され、機体が突如発生した乱気流に翻弄される。 流出する空気とともに、黒い機体が穴をくぐって逃げ出すのが見えた。 懸命に機体を立てなおそうとするシンの横をすり抜け、《カオス》と《アビス》がそのあとに続く。 「くっそォッ!」 シンは歯を噛み締めた。 ――やっとここまで追い詰めたというのに! これてばやられっぱなしじゃないか! せっかく手に入れた力を活かすこともできず、奪われるがままに翻弄される。 シンにとってそれは耐えがたいことだった。 義務感というより執着心に突き動かされ、彼はためらうことなく、外壁に空いた穴に身を踊らせた。 ――絶対にあいつらを逃がすものか! +++ 「艦長!」 《インパルス》に続いてレイの《ザクファントム》までがプラントの外へ飛び出すのを見て、ミネルバ副官、アーサー・トラインが驚きの声を上げる。 「あいつら、なにを勝手に!外の敵艦はまだッ……」 困惑する副官の声にかぶせメイリンが鋭い声で報告した。 「《インパルス》のパワー危険域です!最大であと300!!」 「Σえぇッ!?」 アーサーの顔が青ざめた。 ミネルバ艦長、タリア・グラディスは一息ついたあと 毅然(きぜん)として立ち上がり告げる。 「《インパルス》まで失うわけにはいきません!」 彼らの行為は軽率だが無理からぬものとも思える。 こちらはこれほどの被害を被(こうむ)っているのだ。 だからこそ、彼らを見殺しには出来ない。 「――…ミネルバ、発進させます!!」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加