わたしのカエル

10/23
前へ
/23ページ
次へ
「えっと、あ?」  変に取り乱す先輩。それがまた、いたく私を切りつける。 「アホですか」  私は痛みを無視して、先輩から少し離れた。 「真に受けないでください」  先輩は「ごめん」と言った。何よごめんって。私の胸は、これ以上つつくと確実に破裂する。 「ありがとうございました、」  私は手をひらひらさせて、校門へと走った。逃げるように、必死に走った。 「あ」  呆然と立ちすくむ先輩は、マヌケに見えた。  もうやだ、もうやだ、こんな自分。なぜあの言葉が口から出たの……先輩のあんな顔、全然面白くないんだから。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91人が本棚に入れています
本棚に追加