わたしのカエル

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 恋なんて、マンガみたいにうまく進むものじゃない。ハンカチ落として拾ってくれたイケメンと、いきなり共に恋に落ちれるはずがないのだ。  私は空回りした。  勝手に自分をマンガの主人公のように考え、思い上がっていたんだと思う。恥ずかしい。  私なんて、嫌い。 「おはよう」  それでも朝はやってくる。学校に行かなければいけない朝が。 「おはよう」  ため息が何度ももれる。教室へと向かう階段がやけに長く感じて、またため息をつく。 「あれ、よっちゃん」  うしろから声をかけられた。振り向くと、先輩がいた。先輩の能天気な声になんだかイライラする。 「おはよう」  私は返事もせずに駆け出した。その瞬間つまずいて、階段の角にまたおでこをぶつけたけど、立ち上がってすぐ駆けた。ガツンと痛いおでこなんか気にせずに。「大丈夫」という声が聞こえた。私は踊り場でくるりと先輩を向き、 「大丈夫ですっ」  それだけ言って、二階にあがった。いつの間にか目には涙が溜まっていて、それはおでこが痛かったからなのか、先輩に話しかけられたのが悔しかったからなのか、よくわからなかった。 「先輩なんか、嫌いだ」  ぐしっと目をこすった。
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