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青年が、ふと目を開けた。
そして眼前に広がるは黒い闇…
「ここは……? 」
時間が経つにつれ夢だと感づく。しかし夢にしては妙に冷ややかさを感じる。
リアル過ぎる体温の変化に驚きを隠せない……
ふと背後から声が聞こえた。
「田中 勇樹さんですね? 」
はっと後ろを振り向く。そこには何とも知れない紳士風の……人? が立っていた。
勇樹は余りのショックで声が出ない。ひたすら心の中で答を探していた。
「あいつは何で、俺の名前を知っているんだ? 何で……」
いつまでたっても答が見つからない勇樹に手を差し延べるような口調で話し掛ける。
「突然の訪問に、驚かれているのですね。無理も無い。さしずめ何で、名前を知っているか? などをお考えでしょうか? 」
図星だった。ようやく口を開き出た言葉は見事に突発的だった。
「お前は……誰なんだ? 」
その言葉は響かず消えていった。闇に沈むように……
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