つながる

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 二回の着信音の後に健斗は必ず電話に出てくれる。 『もしもし』  夜の静寂で、真っ直ぐ私に届く、健斗の声。  私、大空鳴海(なるみ)は、中学を卒業してから、彼氏と遠距離恋愛をしている。何十キロも離れている私達を、携帯電話が繋げている。健斗の声を聞く事が今の私の一番の楽しみ。 「健斗、今度いつ会えるかな?」  カレンダーを見ながら健斗に話しかける。 『あ、鳴海の誕生日が近いじゃん。その日は絶対会いに行くよ』 「じゃあ約束ね。それで、喫茶店に行きたいんだけど、いい?」 『いいね、行こうか』  健斗が越してから、二人で会う日がますます楽しみになった。誕生日に健斗に会える。わかっているだけで、心臓の鼓動が少しずつ速くなっていく。 『何か欲しいものある?』  急に聞かれて少し考えてみるけど、特に思いつかない。 「うーん、ペンダントとか? かわいいのがあったら買ってもらおうかな」 『高い物はやめろよ。今財布の中ヤバイんだよ』  冗談を言い合う事。急に「好きだよ」って言われて照れる事。言葉がこんなに大切な物なんて、離れる前には気が付かなかった。 『もう夜遅いな。寝ようか』 「そうだね」 『おやすみ。また電話する』
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