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AM5:35
そろそろ親が起きてくる時間だ。
(急がないと…)
私は昨日買っておいた朝ご飯を急いでかき込み、お茶で流し込む。
そして、一昨日裕太と一緒に買いに行った大きな鞄を担いで、玄関に向かった。
『…おっと、忘れる所だったよ』
ポケットから封筒を取り出して、セロハンテープで置き手紙と一緒にテーブルに置いた。
《私はのんびり電車で行くから、夫婦水入らずで飛行機に乗って下さい。キャンセル料も置いてくので、私があっちに着くまでに二人でご飯でも食べてきなよ☆心配しなくて大丈夫。また後で連絡するから。
by柚紀》
『よっしゃ完璧!』
文章を見直して、私は一人で頷きながら玄関に向かう
『行ってきます』
今まで暮らした、もう帰ってこない家の中に向かって呟き、ゆっくり、音がしないように気をつけながら、ドアを閉め、鍵を掛けた
さて、まだ裕太は起きてるかな?
隣の家の道路に面した部屋が裕太の部屋だったはずだ
そういえば、もう二年くらい裕太の部屋に入っていない。
『よし』
道端に落ちている小石をひろう。
これを10分も続ければ流石に起きるだろぅ。
『よっ』
窓に向かって小石を投げる
……カンッ
…………
少し待ってみたが反応なし
次の石を拾ってさっきより強めに投げてみる
……カンッ
…………
ふぅ…反応なしか…
気を取り直して次の石を探そうとしたとき裕太の部屋の窓が開いた
(起きてたんだ)
窓を見上げる。
そこにはものすごく驚いた顔をした裕太が私を見下ろしていた
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