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「あ。今日生徒会あるんだった」
「生徒会?」
方課後になると、朝日がおもむろにそう言った。
「あぁ。お前も入ってるぜ?」
「…はい?」
「俺と同じ生徒会副会長。」
「なっ…そんなの聞いてない!!」
「だって今初めて言ったし」
頷きながら、満足気に言う朝日だけど。
そんなことは判っている。
そうじゃなくて……
「何で!?」
「成績良いから」
「休んでたのに成績良い訳ないでしょ!?」
普通は留年ものだ。
いじめのことを知った学校側が配慮してくれたから、わたしは二年生に進級出来たのだから。
「まぁ細かいことは気にすんな」
「細かくない!!」
「いーから、行くぞ!!」
「ち、ちょっと朝日っ!?」
──結局、理由が判らないまま。
わたしは生徒会室に連れてこられていた。
ガチャ─
「ちーす。会長ー」
「やぁ、二人ともこんにちわ」
「こ、こんにちわ…」
(……見るからに腹黒そうな人…)
「腹黒そう、なんて心外だな。僕は腹黒いよ。間違えないで?」
「えっ…」
一歩、後ろに下がる。
ビックリなんてものじゃない。
怖すぎる。
「あぁ、そんなに警戒しないで。読心術を心得てるだけだから」
にっこりと言われても、どう反応していいのか判らない。
とりあえず、笑って誤魔化しておく。
「君は誤魔化しが下手だね。まぁ良いけど」
楽しそうな笑顔で言う会長。
全く良くないのだが…。
(黒い、ていうより……真っ黒…)
納得してしまう。
「でしょ~」
「会長、ふざけてないで仕事して下さい…」
複雑な気分になっていると、会長の近くにいた女生徒からストップが掛かった。
「何、ヤキモチ?」
「違いますっ」
きっとこの人は、責任感が強いんだろう。
…けど。
「葉月ちゃんは固いなぁ」
「な、何するんですか…!!」
会長は全く動じず、寧ろ嬉しそうに抱きつく。
(え、あの二人……?)
「会長たち、付き合ってんだよ」
わたしの疑問を察したのか、朝日が教えてくれる。
「…えぇぇ……」
「む、何その反応」
耳聡く、会長は抗議の声をあげる。
「言っとくけど、僕たちは葉月ちゃんの一目惚れで始ま「会長!!!」
「イヤだなぁ、葉月ちゃん。照れちゃって可愛いー」
「~~っ」
葉月さんは、抱きつかれたまま、真っ赤になって俯いてしまう。
(……本当に、この会長無敵だ…)
わたしの感想は、もうそれしか出てこなかった。
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