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「この和菓子、美味しいね」
「うん、あたしと葉月姉もお気に入りなんだ~」
わたし、文月ちゃん、葉月さん、皐月くんは、お茶を飲んでのんびりとしていた。
「大体、会長はいつもサボりすぎなんですよ!!何で俺らだけに仕事押し付けんっスか!!」
そんな中、朝日はまだ会長に食い付いていた。
「副会長だからだよ」
「意味判んねーんスけど!!」
「判れよ。副会長だろ」
お茶を片手に、素晴らしく無表情で言う皐月くん。
その隣で、文月ちゃんがニコニコと経緯を見つめ、葉月さんは少しオドオドしている。
「いや副会長関係ねぇし!!つーかお前は俺に敬語使え!!!」
「そんなことより、早く僕も葉月ちゃんとお茶飲みたいんだけどなぁ…」
「そんなことって、会長!!葉月さん、葉月さんって言うその情熱を仕事に向けて下さい!!!」
「いや、無理」
「はぁぁ!!?」
「成程。此処では朝日はいじられ役なのね」
のんびりとした雰囲気の中、わたしは一人納得していた。
「美月ちゃん正解っ!!」
頷いているわたしに、文月ちゃんは指で丸を作って見せる。
「やった!!」
「喜ぶところなんですか…?」
葉月さんが苦笑しながらツッコミを入れたけど……本当に、納得できてしまう。
(朝日は、周りを笑顔にしてくれるから……人気者なのも、頷けるわ)
わたしには無いものを、沢山持っている。
(だからかな……何となく、朝日には逆らい切れないのよね)
ふと気付くと、朝日は今度は皐月くんに矛先を向けていた。
「てか何で俺がいじられ役なんだよ!?」
「フッ…俺に聞かれても……」
朝日の言葉を鼻で笑い飛ばす皐月くん。
(うーん…手強いわね)
「あ、それはね。朝日くんだけ月が入ってないからだよ」
「──…はい?」
いつの間に此方に来ていたのか、葉月さんの隣に座っていた会長の突然の言葉に、その場にいた全員が不思議そうな表情を向ける。
「朝日くん以外は、名前に『月』がつくからだよ♪」
わたしたち全員の、「この人何言ってるんだ」な視線を受けても、会長は涼しそうな笑顔で付け足した。
うん、意味が判らない。
「どういうことですか?」
わたしのこの問いかけに、
「そのまんまだよ。朝日くん以外はみんな名前に月がつくし、何よりいじり甲斐があるからね」
と爽やかに答える会長。
「はいぃ!?」
それに対して朝日が変な声をあげる。
会長は明らかに、朝日のその反応を楽しんでいた。
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