出会い

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美月side ピンポーン… 「ん?……誰だろ、新聞か勧誘の人かな?」 自室のベッドでゴロゴロしていた体を起こす。 わたしは、不登校気味……というより、完全に不登校だ。 あんなところ、行きたくない。 居場所を、見失ってしまった。 ピンポーン、ピンポーン… 「お母さんも出掛けてるし……無視でしょ」 誰もいないリビングに行くには、勇気がいる。 たった独り、取り残されたみたいな気がして。 通り過ぎるだけでも、キツい。 ……それなのに。 ピンポーン、ピンポンピンポンピンポンピンポンピン、ポーン…… 「しつこいっ…!!」 いくら何でも鳴らしすぎだ。 「……仕方ないなぁ」 これだけしつこくチャイムを鳴らす人だ。 急ぎの用件がある人か、もしくは悪戯か。 (どちらにせよ、わたしが玄関に行くまでは、少なくとも独りじゃないよね) ゆっくり立ち上がって、部屋から玄関に向かう。 ──この時もし居留守を使っていたら、今頃わたしは、どうなっていただろう。 「…はい?」 「如月だよなっ!ほい、プリント!!」 苛立った声でドアを開けた瞬間、笑顔でプリントを差し出すこの人──望月 朝日に出会わなければ。 わたしはきっと、存在する意味を、理由を、居場所を。 見失ったままだったと思う。 それだけ、この出会いは、わたしにとって凄く影響のあることだった。
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