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「っ…やだ…朝日…思い出してよ…辛いよ……!!」
わたしは止められなくなって、溢れてきた涙を拭うのも忘れ、朝日にしがみついた。
喉が焼けた様に熱くて、腕に力も入らない。
それでも、わたしをかばって、わたしよりずっと重傷を負った筈の朝日の服を掴んで。
力の入る限り、揺すった。
「…ごめん、美月…」
わたしがいなければ、当然、朝日はわたしをかばうこともなくて。
朝日の運動神経なら、ギリギリでも車を避けて、こんなに酷い怪我をせずに、軽傷で済んだだろう。
自分のせいでこうなったのに、朝日のせいにして、謝らせている。
(わたし…最低だ)
判っている。
けど、頭では判っている筈なのに、身体が言うことをきいてくれない。
「美月、落ち着け…」
「朝日だって怪我してんだし…」
「少し、頭を冷やした方が良いですよ……」
「さぁ、望月くんも、病室に戻りましょう?」
いっちゃん達が、口々にわたしを宥めながら、わたしと朝日を離そうとする。
でも、それを朝日が止めた。
「いい。…俺が悪いから……思いきり、泣いていいよ」
「っ…あさ…ひ…っく…」
また朝日にしがみついて泣き始めるわたしを見て、修一くんがみんなを促す様に何か言って、病室から出て行くのを気配とドアの開閉の音で感じた。
わたしの心は、安らぎから悲しみへと、急速に沈んでいっていた。
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