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朝日side
…美月は、俺にしがみつくようにして泣いている。
俺の胸を時々弱々しく叩いたりして、修一達が出ていった後も、ずっと泣いている。
「…ごめんな、美月……」
(──何故だろう)
美月の泣いているところを……涙を見ると、悲しくなる。
「……」
「…美月?」
突然、美月の泣いている声が聞こえなくなる。
「………すぅ…」
「え…っ?」
泣き疲れたのか、美月は俺にしがみついたままの姿勢で、規則正しい寝息をたてていた。
「……こんな時って…どうすりゃ良いんだよ…」
困ったことに美月は熟睡してしまっていて、なかなか起きそうにない。
(……この間に、一度頭の中を整理しとくか)
みんなの話を聞く限り、俺が庇ったのは美月だろう。
……てことは、俺の大事な人は、今、目の前で泣き疲れて眠ってる美月ってことで…。
(……そりゃあ、「まさか美月な訳ない」なんて言ったら、兄貴も怒るし太陽も呆れるよなぁ…)
「……ひ…」
なんて考えていると、小さな美月の声がした。
「ん?」
俺は美月が起きたのかと思って顔を覗き込んだけど、美月はまだ眠っているようで、寝言のようだった。
「…ごめ……朝…日」
「え…?」
何故謝られているのか分からない俺は、美月がどんな夢を見ているのかが、凄く気になった。
「………」
「…美月?」
俺は実は起きてるのかと思って、ちゃんとした確認をしてみた。
①髪を撫でてみる
②くすぐってみる
③顔を近づけてみる
だけど、美月は静かに規則正しい寝息をたてているだけで完全に眠っていた。
(……俺、端から見たら超変な奴だよな…)
俺はその確認が済んでから、本当に゙ちゃんとしだ確認だったのかと、自分の頭を疑う。
普通に考えれば、゙ちゃんどなんてしていなくて。
俺は美月を抱きかかえるような態勢のまま、頭を掻き毟った。
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