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ブー、ブー、ブー……
「おわ…っ!?」
突然、横でマナーモードにしていた携帯が振動した。
「な、何だよ……え、太陽?」
サブ画面に表示された名前を確認して、俺は少し驚いた。
太陽は電話より早いんじゃないかと思う程メールを打つのが凄く早くて。
だから緊急や急ぎの用事がある時以外、電話なんて掛けてこない。
その太陽が電話をしてきたのだから、俺が驚くのも当然といえば当然だろう。
「もしもし、太陽?どうした?」
俺はどうしようかと思いながらも、美月が起きる様子はなさそうなので、小さい声で用件を訊いた。
「朝日兄ちゃん、おめでとう!!」
太陽は、電話の向こうで珍しくはしゃいでいるようだった。
「は?おめでとうって、何が」
意味が分からない俺がとりあえず訊いてみると、太陽は嬉しそうに答えた。
「朝日兄ちゃん、明後日退院だって!!」
「……は?」
俺は何を言われたのか理解出来なくて、聞き返した。
「だから、朝日兄ちゃん、明後日で退院だよっ」
「……はあぁぁ!?」
(……ちょっと待て!!)
俺は確か、まだ入院して今日で3日目の筈だ。
(こんな怪我だらけで包帯巻かれ放題な上に絆創膏パラダイスな身体で、語尾に星でもつけそうな勢いで『退院だよっ』じゃねぇよっ!!)
俺は美月がすぐ傍で寝息をたてているのも忘れて、デカい声を出していた。
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