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「…朝日?」
朝日は先刻、とても優しい声で「大丈夫」と言った後から、ずっと黙っている。
「…あのさ、美月。俺、思い出したよ」
「え…?」
「今のキスで、美月のこと、全部思い出した」
「なっ…!?」
(お、思い出したって…嬉しい、けど……恥ずかしい…!!)
わたしは、赤くなっているであろう自分の顔を隠すように、俯いた。
朝日も、また黙り込む。
「…その…俺、お前のこと…」
暫く沈黙が続き、漸く口を開いた朝日は、暫く目を泳がせてから、わたしに向き直った。
「…好き…だ」
「え……」
お互いに暫く見つめ合った後、朝日がまた口を開く。
「…いや違った。今の間違い」
「えぇっ!?」
突然、前言を撤回した朝日に、わたしは思わず肩を落とす。
「…結構前からだったんだ。美月のこと、こういう風に思ってたの。だから……好きだけじゃ、足りないんだ、けど…」
「う、うん…」
「……その…愛して、ます…。俺と、付き合って下さい」
わたしよりも顔を真っ赤にして、そう言った朝日は。
顔を隠すこともなく、真っ直ぐにわたしを見つめている。
「…返事、は…?」
不安そうに、朝日が訊いてくる。
(…そんなの、決まってるよ)
「はい…っ」
「………っっ!!」
と、朝日が突然顔を背けた。
「朝日?」
「こっち見んな!!」
「…照れてるの?」
「わりーかよ!!普通に嬉しいんだよっ!!」
「……っあはは!!」
手の甲を口に当てて照れてる朝日が可愛いくて、わたしは笑ってしまう。
「わ、笑うなよ!!」
「だって…可愛いんだもん」
朝日に怒られても、可愛いと言いながら笑っていると、突然背中に軽い衝撃が走った。
気付いたら、わたしは朝日に押し倒されるような体勢で、ベッドに横になっていた。
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