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「…よしっ、美月も退院出来るって言ってたし、南瓜祭に出席出来るな」
朝日は嬉しそうに笑いながら、ナイトテーブルに置いていた携帯を取ってイジりだした。
「…?何してるの、朝日?」
「二人とも明後日には退院出来るって修一達に報告。兄貴達にも」
そう答え終わると同時に、朝日は携帯を閉じた。
「…あれ、報告しないの?」
「したぜ、今」
わたしが疑問に思ったことを訊いてみると朝日は信じられない言葉を口にした。
「え!?早すぎじゃない!?」
「俺の辞書に『早すぎ』という文字はない!!」
片手で拳を作って威張る朝日に、わたしはつい呆然としてしまう。
「おい美月!!今のところは『え、すごーい!!』って尊敬すべきところだぞ!?」
「えぇ!?尊敬!?」
(確かに凄いけど、尊敬まではいかないよ……)
「む、何だよ…凄いだろ?」
苦笑するわたしに、今までの強引さを疑いそうになる程、朝日は不安そうな瞳を向けてくる。
「…うん、凄いよ?」
「何だよ、その子供相手に言うような言い方!!」
「えー。そんな言い方してないよー」
ワーワーギャーギャー、また騒いでいると、さっきとは違う看護師さんが勢いよく病室のドアを開けた。
「静かにしなさい、あなた達!!」
その看護師さんは叫ぶのに近いくらいの大声でそう言うと、また勢いよく扉を閉めた。
相当怒っているのか、ズンズンとこちらに聞こえるくらいの足音で、何処かに行ってしまう。
「……あの看護師さんのが、声デケェよ…」
「確かに…」
わたしたちは、目線を交わして。
またあの看護師さんに怒られないように、クスクスと小さく笑い合った。
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