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「そ、そういう意味じゃなくて…」
「何で来てんのかってこと!!」
自分の後ろから顔を覗かせているわたしを特に気にすることもなく、朝日は言葉を繋げる。
「南瓜祭は、保護者や家族も出席して良いんだよ」
「わたしと日向くんも、見回りを含めて参加しようってことになったの」
わたし達の疑問に、日向さんとお姉ちゃんが分かり易く答えてくれる。
「詩月ちゃん、デザート食べに行こうよ」
いつの間に目の前から居なくなっていたのか、わたしたちから少し離れたところで太陽くんの声がする。
「うん…」
詩月は笑顔で答えて、太陽くんと手を繋いで会場の人混みの中に消えて行く。
「詩月が…笑った…」
「久しぶりね、詩月のあんな笑顔を見るの」
わたしとお姉ちゃんが驚いていると、日向さんが目を見開いたまま呟いた。
「俺も初めて見たけど…詩月は、笑ってる方が可愛いな」
「ん、何?兄貴ってロリコン?」
「ちげーよ、このクソ朝日!!」
「何だとクソ兄貴!!」
二人は暫く睨み合っていたけど、プッ…と吹き出して、お互いに笑っていた。
その光景に、わたしとお姉ちゃんも顔を一度見合わせて、クスクスッと笑った。
「やっぱり、仲が良いのね」
「そうか?」
お姉ちゃんに言われて、苦笑気味に答えた日向さんは、少し照れ臭そうで。
「朝日、嬉しそう」
「んなことねぇよ」
朝日も否定はするものの、凄く楽しそうに小突き合っている二人を見て、わたしは幸せな気持ちになっていた。
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