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死神の軽自動車は止まっていた。
見事にタイヤが溝にはまっていた。
「………っ」
死神は無言で、動けなくなった軽自動車をしゃがんで見つめていた。
今頃あの2人はもうゴールしているだろう。
ふと、昔の出来事を思い出した。
『あーあ、やっちゃったなぁ……』
『やっぱ無茶だったんだよ』
『×××だもんなぁ』
死神はギリリと唇を噛んだ。
「お~い、やっぱりここに居たか」
走一は車から降りるなり死神に声を掛ける。
死神はビクリと驚いた。
「な、ななな……! 何でお前らがここに居るんだ!?」
死神は口をパクパクさせる。
「いや、俺は止めたんだけど走一がさぁ……」
「健二君、『走一と健二の走り屋的な心得第3条』を言ってみたまえ」
健二は「う"っ」と言葉に詰まると、走一から目を逸らし、赤面してボソボソと述べた。
「『走一と健二の走り屋的な心得第3条』、仮にバトルの相手であっても、困っている人がいたら愛と勇気を持って救出に行くべし」
「という訳で助けに来た。 車を持ち上げるから、ちょっと手伝ってくれ」
走一はニコッと笑って死神に言った。
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