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「助けてくれなんて頼んでない!」
死神はつっけんどんに答える。
「けっ、可愛くねぇ奴」
健二は悪態をついた。
「まぁまぁ。 健二、文句は後にしてタイヤを溝から出すぞ。 それと、死神さんももうちょい素直になりなさい。 女の子なんだから」
走一がそう言った途端、健二は顎が外れる勢いで驚き、死神は火が出る勢いで赤面した。
「お、女の子ぉ!?」
健二は黒いフードを被った死神をビシッと指差して言う。
「うん、女の子。 その様子だと、健二は気が付いてなかったみたいだな」
走一はハッハッハと笑った。
「死神さん、黒いフードなんか被るのやめてさぁ……もうちょい可愛い赤い服を着てみたらどうかな?」
走一は死神をジッと見つめると、そっと黒いフードを外す。
「あ、こら……!」
死神は走一をポカポカと叩いた。
走一は笑顔を浮かべながら、
「恥ずかしがる事はないと思うよ。 死神さんは十分可愛いんだし」
と呟いた。
死神は顔を真っ赤にする。
「は、恥ずかしいのはお前だ! よくもそうぬけぬけとくっさいセリフを……」
「だって本当の事だしね。 さて、健二ぃ~持ち上げるぞ」
走一は死神のツッコミをサラリとかわすと、健二と一緒にタイヤを溝から出そうと車を持ち上げる。
「イェッサー」
健二も、走一と同様に車を持ち上げ始めた。
「死神さん、手伝ってくれるかな?」
走一は満面の笑みで死神に訊いた。
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