岩谷峠の耳なし芳一

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「なぁ、知ってるか? 友達の友達から聞いた話なんだけど……」 都市伝説。 それは、「友達の友達から聞いた」というくだりで始まる、根拠の無い噂話である。 しかし、都市伝説は本当にただの噂話に過ぎないのだろうか? ひょっとすると、中には真実の話も含まれているかも知れない。 -兵庫県神戸市某所- 「岩谷峠の耳なし芳一ィ?」 相良 走一は困惑の表情で返事した。 ちなみにこの顔をするのは2度目である。 「いや、今度こそ本当だって! 走り屋の間で噂になってるんだぜ!?」 流 健二は必死で走一に食らいつく。 「……健二」 走一は健二の肩にそっと手を置くと、 「噂話も程々にしろっつってんだろ」 と健二に呟いた。 「待て、走一!」 健二は肩に置かれた走一の手をグワシッと掴むと、前回より腹黒い笑顔で 「それじゃあ、噂が本当かどうか確かめに行けばいいんじゃないか?」 と訊いた。 「はぁ? 何でわざわざ……」 走一は渋い顔をしていたが、 「今から確かめに行くぞ」 健二は迫力満点な顔で走一に言い放った。 「あ、おい!」 呼び止めるが、健二の姿は既に無く、しっかりと走一の助手席に座っていた。 『無視か―――!』 走一は心の中でツッコんだ。
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