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芳一は、話声から彼らが高貴な家のものであると理解したが、連れて行かれた場所は全く見当がつかないまま、殿様の所に到着した。
芳一は平家の壇の浦の戦いを一生懸命弾き語った。
声を張り上げ、激しい悲しみを歌った。
演奏の途切れ途切れに賞賛の声を聞いた。
語り終えた後、芳一は使いの者から、
「殿様は大層気に入ったので、これから6日間、毎晩殿様の前で演奏をして欲しい」
と告げられた。
芳一は感謝の意思を述べると、老女からここであった出来事を黙っているようにと固く口止めされ、夜明け頃に寺へと帰された。
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