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-2月22日夜10時、再度山-
『結局来ちゃった――!』
走一は心の中でツッコんだ。
決して健二の顔が怖かったからとかそういう訳ではない。
断じて違うと自分に言い聞かせながら、健二を待った。
「よー、走一。 早いな」
待ち合わせしたカップルの様なシチュエーションで健二が現れる。
全くドキドキしないシチュエーションである。
「うん……今来た所なんだ」
微妙にテンション低い声で返答すると、走一はキョロキョロと辺りを見回した。
再度山には沢山の走り屋達がいた。
彼らは山道を早く走る為に文字通り命を懸けている集団である。
つまりドリフトとかドリフトとかドリフトしているのだ。
走一は、そんな走り屋達を眺めながら、健二に尋ねる。
「なぁ、健二。 死神って何処にいるの?」
「俺が聞いた話では、夜に車を運転している時にポローンと現れるそうだ」
「家の鍵を見つけた時みたいな微妙な表現やめろよ! 大体信憑性がなさすぎるよ!」
「じゃ、行くか。 走一、早く運転席に乗れよ」
「俺のツッコミ無視かよ! って言うかもう運転席に乗ってるよ!」
走一は何だかんだ言いながら、シートベルトを締めた。
「よし、飛ばせ。 事故らん程度にな」
「難しい注文だなオイ! 出来るかっ!」
走一がツッコんだのは言うまでもない。
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