指切り問答 [side:Clown]

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 ふと、私は目を醒ました。ぼやけた視界の中に浮かんだのは、一面の白。  手の甲で目をこすってみるが、辺りは霧でもかかっているような有り様で一向に白く、遠近感すら判然とはしない。  いや、ぼやけてなどいないのではないか。ここは、そういう場所なのだ。よく見れば、床も、壁も、天井も、自分が座っている椅子さえ、真っ白だった。  壁や天井。実際、そんなものがあるのだろうか。まるで、あらゆる方向が光源となっているようで、押し寄せる白という光のために、どのような空間なのか概形すら掴めなかった。  私自身は部屋着のままで、家内が誕生日にくれたセーターと、いつものジーンズだった。ポケットを探るが、煙草も携帯も入っていない。  これは、夢なのか。それとも現か。 「うわっ」  私が正面に向き直ると、いつの間にか赤という色が白に混じり、滲んでいた。  白い椅子に座る、赤いワンピースの少女。年頃は、およそ小学校に入ったかそこらだろう。  眼前の一目見て愛らしい少女は、向かい合うようにして目の前に静かに佇み、その無垢な眼差しを私に向けていた。
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