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どうやら、指切りをしろということらしい。
私は、かつての幼い頃の郷愁を感じながら、まるでその指に吸い寄せられるかのように、自分の右手の小指を絡めた。
すると、ユメカは無邪気な笑みを一層深めた。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。指切った」
鈴を転がすような声音に、私は聴き惚れてしまった。いつか子供を持つようになったら、こんな笑顔が毎日見られるのだろうか。
「それじゃ、最初の質問ね。おじさんは結婚してるの?」
他愛もないことを考えていると、ユメカは口を開いた。小指は、未だに繋がったままだった。
「ああ。しているよ」
彩加。家にて私の帰りを待っているであろう、妻の顔が浮かんだ。
お腹には子供がいるというのに家事を自分の義務として、『安静にしてはどうか』という私の言葉にも耳を貸さない。
そんな、明るく、思いやりの心を持った妻。私が選んだ、最高の女(ヒト)だ。
「ふーん。なかよし?」
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