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何故質問をする? 何故私に?
そして何より分からないのはこの感覚だ。ユメカと向き合っているだけで、明るい陽に照らされるような、そんな錯覚に陥る。
この白い空間も、全てユメカに照らされているから白いのだろうか。
「ついさっきまで、家にいたの?」
ついさっき。
私の目覚めより前のことだろうか。ここで目を覚ます前の記憶。
これは何処だ? 薄暗い、黄昏時。狭い場所だ。騒音が五月蝿い。
ここは──車内だ。私が車を運転している。彩加の姿はない。
私は独りで何処かへ行こうとしている。
「いや、出掛けていたよ」
果たして、私は何処へ向かっていたのだろうか。いつもなら、夕食時のはずだ。
考えても、答えは出なかった。
「それじゃ、おじさんのお手々の赤いものはなあに?」
はっとして、私はユメカと繋がっていない方──左手に視線を落とした。
赤い。どす黒い。
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