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しかしセオにはすぐにそのドラゴンが悪いドラゴンではないことが分かった。
ドラゴンはその男を見て、とてつもなく怯えた目をしていたのだ。綺麗な青色の瞳が小刻み揺れる。
それは獰猛と人々に恐れられ、巨大で真っ黒なドラゴンであっても一匹の子猫の様にか弱く、愛らしく見えた。
しかし男はドラゴンに右手を向け、なにやら呪文を唱え始めた。すると急にドラゴンが苦しみ始めた。
首に鎖を付けられているためドラゴンにその場から逃げる選択肢はない。
長い尾を振り回し、必死にもがき苦しむ。
そのせいで何本ものロウソクが弾き飛ばされ、セオの顔の真横に飛んできたロウソクもあった。
セオは逃げる事も止めることも出来ずに、ただその悲惨な状況を見守るしかなかった。
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