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時を同じくして、ヴィルバンにて体を休めている旅人がいた。
年の頃はヨシュアと同じくらい。
少女にしては長身で、スカイブルーの瞳は常に不機嫌そうに光る。
銀色から輝きを抜き取ったような灰色の髪腰まで伸ばしている。
彼女の名前はスフィア・I・ブラック。
両親は死んだ…わけではない。
親はここよりずっと西の田舎で隠居生活を送っている。
スフィアの両親も、昔旅をしていたという。
しかし2人は旅の話をスフィアにあまりしてはくれなかった。
そう…彼女の両親は『紅の天使』と共に旅をした『3戦士』のうち2人だからだ。
この事実を知ったのは家に珍しく客が来たとき。
親より若い少女だというのに、両親は揃ってその客に敬語を使っていたので、今でも鮮明に覚えている。
漆黒の髪に同じ色の瞳をもつ少女が…スフィアに教えてくれたのだ…。
だから、自分も旅をしようと思った。
両親の軌跡を、追ってみたくなった。
女の一人旅はきけんだが、スフィアは父から細剣を、母から魔法を教わって育ったので、なんとかなる。
スフィアは母ゆずりの青い瞳を、そっと空へと向けた…。
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