第1章 英雄希望②

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慌てて駆け付けてみると、気絶した女性を担いで逃げようとする、誰が見てもかなり怪しい影が一つ。   ここぞとばかりにヨシュアは地を蹴った。   そして、冒頭の叫びに至る。   誘拐犯は女性を一人担いでいるとは思えないくらい足が速かった。   ヨシュアだって走るのが遅いわけではないが、なかなか追い付けない。   走りながら、ヨシュアは焦り始めた。   この先は港だ。 もし誘拐犯が組織で、船で逃げられでもしたら追うことができなくなってしまう。   「待てって言ってるだろー!!」   そう言って待ってくれる犯罪者がいたら是非会ってみたいものだ。   逃避行は続き、大通りへ出た。   ヨシュアはそこで、何かとおもいっきり正面衝突をして、ふっとんだ。   「うわっ!!」 「きゃぁっ!!」   二つの悲鳴が同時に響く。   「いって~…おい、何処を見て……ってこら!!」   ヨシュアにぶつかった相手は、彼に目もくれず、何故か誘拐犯を追いかけている。   「人にぶつかっておいて無視かよ!」 「うるさい、黙れ」
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