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なんと、ぶつかった相手は女だった。
ヨシュアより身長が高く、腰の左側には細剣を、後ろには鞭を納めている。
体つきも引き締まっているのに、出るところはちゃんと出ていて、黙ってたっていれば見とれてしまいそうなプロポーションだ。
銀色から艶を抜き取ったような灰色の髪。
スカイブルーの不機嫌そうな瞳。
スフィアである。
「なんだと!?」
スフィアの生意気な態度にヨシュアは思わず怒鳴り返していた。
切れ長の目がヨシュアを睨み、
「あんた、誰?」
「おう、よくぞ聞いた!俺の名はヨシュア・Y・ユージン!この街の英雄(になる予定)だ!!」
「死ね」
「だぁぁぁぁぁっ!!いちいちつっかかる女だなぁ!つか、名乗ったら名乗り返すのが礼儀ってもんだろ!」
「馬鹿に教える名はない」
「なんだとこのやろうっ!!」
以上、全速力で走りながらの会話である。
スフィアは相手にしてられないとばかりに、走るスピードを速めた。
犯人を追撃しているはずが、いつの間にか競争へ発展する。
そうこうしているうちに、港へ出てしまった。
「やばい!やっぱり船で逃げるつもりだ!」
当初の目的を思いだし、ヨシュアが焦りの見える声音で叫ぶ。
「船?この先には無人島しかないじゃない」
スフィアが思わず、ヨシュアに語りかける。
「馬鹿。沖合いで迂回すれば適当なところで降りられるだろ!」
二人がさらにスピードをあげようとした、その時…
「待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
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