プロローグ

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海の上に浮かぶ島があった。   あまり大きくないその島の上には、城が建っている。 その周りには沢山の緑。   今では誰でも知っている島。   それでも、   誰も立ち寄らない島。   その海岸線に、小さなボートが一つ浮かんでいた。   そこに、一人の女が立っている。   揺れるボートの上なのに、危機感がまったくない。   女は、長い黒髪を揺らしながら、ただ島の奥を眺めている。   あと一歩踏み出せば上陸できる距離。   それなのに、彼女は動こうとしない。   ふいに、彼女が右手を島に向かって伸ばした。   島の空気に触れようとした、その時…   バチ!   静電気のようなものが、彼女の手を阻む。   手にできた火傷のせいか、それとも別の感情なのか…彼女は顔をしかめた。   「…どうして…」   ぽつり、呟く。   「どうして…また…」   その呟きは、呆気なく夜の海に吸いとられた。     ――どうしてまた、人は過ちを繰り返す?     「これが…あんたの望みなの?」   また始まるであろう戦いを愁い、女は静かに目を伏せた…。
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