ミルクとコーヒー

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ミルクディッパーの扉を開けるとベルが鳴り響く。 「いらっしゃいませ!」 中に入ると経営者の愛理さんが迎えてくれる。 「コハナちゃん!こんにちは」 「愛理さん、こんにちは!」 「良太郎、買い物に行ってて今いないの」 「そうですか…」 特に良太郎に用があったわけではなく、コーヒーが飲みたかっただけなのだが… この姿になってからまともにコーヒーが飲めていないコハナちゃん。 ふと何かを思いついたのか愛理さん 「コハナちゃん、これから時間ある?」 「はい?」 首を傾げるコハナちゃん 「じゃあ座って待ってて?」 「はい」 言って愛理さんはコーヒーの支度を始める。 コハナちゃんは窓側の席に座って望遠鏡を眺めた。 桜井さんの望遠鏡。 侑斗の過去に行った時、高校生だった侑斗が大事そうにしていたのを思い出していた。 「お待たせしました」 いつの間にか愛理さんがコハナちゃんの前にコーヒーを置いた。 ふわりと香るコーヒーの匂い。 けれどいつものコーヒーではなくて 「ミルクたっぷりのカフェオレを作ってみたの」 「いただきます」 そっとコーヒーカップを持って一口飲むと口の中に柔らかいミルクの味とコーヒーの程よい苦味が広がる。 「美味しい!」 愛理さんを見るとふんわり優しく微笑み 「よかったぁ」
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