進路

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「考え直せ!新井!」 職員室に響く教師の声。 「考え直せって...俺の進路、地元のプロサッカーチームに入る事だから。」 頭を掻きながら席に座っている少年。 新井俊哉である。 「お、お前なぁ!こんなにスカウトの方々がいらっしゃってるのに...断るのか!?」 教師が指をさす方向には20社を超えるスカウト達。 新井「いやぁ...だって皆陸上のスカウトじゃん。俺はサッカー選手になんの!」 不機嫌に頬を膨らませる。 「サッカー選手って...お前は陸上部で100M走全国大会1位だぞ?鍛えればオリンピック出場だって夢じゃないんだぞ!」 机を揺らしながら話す教師。 うざいなぁ... 新井「陸上部は副業だし。俺本当はサッカー部だもん。」 「アホっ!サッカー部は県大会止まりじゃないか。」 あ~... 確かにうちの学校サッカー部弱いからな。 新井「でも、もう決めた事だから。」 席を立ち職員室を出ていく新井。 「あ、新井...」 取り残された教師とスカウト達... 「あ、あのぉ...新井君は?」 心配そうに教師に聞く。 「ダメですね。あいつは自分の意志曲げるような奴じゃないですから。」 溜め息1つでプリントをまとめ始める教師。 「あ、あの?」 「諦めて下さい」 「そ、そんなぁ...」 空しく静まった職員室だった。
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