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俺はいま水戸ホーリーホックにいる。
「え~...入団テスト合格者の新井俊哉だ。みんな面倒見てやれ。」
監督からの紹介。
新井「あ、新井俊哉です。よ、よろしくお願いします。」
頭を下げる。
『パチパチパチ』
みんな温かい拍手をしてくれている。
一人を除いて...
「気にすんなよ。あの人いつもあんなんだから。」
心配して声をかけてくれる先輩達。
新井「いえ。気にしてませんから...」
軽く会釈をするが、やはり気になる存在...
俺がかつて憧れた人物。
林洋平だ...
年月が、かつての若さを奪ってしまっている。
あの頃のような瞳の輝きも失われていた...
なんか...
怖いな...
林「....キャプテンの林だよ。」
手を差し出す林。
新井「は、はい!新井です。よろしくお願いします。」
握手をする。
林「オメェの事を調べさせてもらっただよ。」
新井「えっ!?」
ひょっとして好意的♪
なんて思ったのもつかの間。
林「今すぐサッカー辞めて、陸上やるだよ。」
新井「えっ...」
何言ってんだ?入団早々解雇通告?
林「このチームにいても得る物はないだよ。足速いんだろ?陸上で飯食った方がオメェの為だよ。」
教師達と同じ事言うんだな...
憧れってこんなもんか?
少しの失望感があったが、ここで諦める訳にはいかない。
新井「いえ。俺には叶えたい夢があるんで。」
林「夢?」
片眉を上げ、不機嫌顔の林。
それを見た先輩が...
「は、林さん。コイツはまだ18歳ですから。夢持ってたって良いじゃないですか。」
何故か宥める先輩達。
林「ふん...」
行ってしまった。
「あの人の前で、夢とか二度と言うなよ...」
青ざめた顔で先輩が言う。
新井「なんでですか?」
思わず聞いてしまう...
「....話しとくべきか?」
「そうだな...」
相談で話す事にしたようだ。
「実はな...」
先輩は語り出した。
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