一陣の風

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林「オラがパスを出すから、ボールを追いかけるだよ。」 林は、水戸では主にボランチを担当する(代表ではSB)。 水戸は林をレジスタとしたチームであった。 新井「うわ...緊張する。」 武者震いがしてきた。 林「じゃ新井に見本みしてやれ!」 一人先輩を呼ぶ。 「は、はい。」 林「行くだよ!」 鋭く足を振り抜く。 「うわっ!?こ、こんなの取れませんよぉ...」 先輩は全力疾走したが10M以上離れた位置にボールが落ちる。 林「....次。」 黙々とパスを出し続ける林。 が、未だ誰も取れない。 新井「...(ひょっとしてパス精度が極端に悪いんじゃ。)」 少し疑う... すると、心なしか気付いたのか... 林「....新井。」 呼ばれた!? 新井「は、はい。」 林「見てるだよ。」 指を指す。 40M程離れた場所に三角コーン。 まさか狙うの? 林「...」 足を振り抜く。 『グィーン』 鋭く曲がってコーンに当たる。 新井「す、すげぇ...」 なんだよ。 精度目茶苦茶良いじゃん。 林「ほれ。新井...次はお前だよ。」 新井「は、はい。」 林「と...その前に。賭けをしないか?」 いきなりの提案。 新井「賭け...ですか?」 林「んだよ。今から3本パスを出す。内一本でも取れたら...即レギュラーにしてやるだよ。」 即レギュラー?まじかよ。 林「ただし...一本も取れなかったら。今すぐ解雇だよ。」 新井「えっ!?」 林「パスも取れない奴がサッカー選手だなんて、洒落にならんだよ。」 ...先輩達、一人も取れてないんだけど(汗) 林「さぁ...どうするだよ?」 野郎...そんなに俺をクビにしたいのかよ。 先輩達も「やめとけ」と首を振っている。 あいにく俺は自分で決めた事を変えるのが大嫌いなんだよ。 新井「やります。」 林「ほぅ。」 口角を上げて笑う林。 不気味だ... 先輩達は頭を抱えていた。 「勝ち目無いのに...」 へ?なんで?
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