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普段の私の姿は、子どもにしか見る事ができない。
気合いを入れてがんばれば、大人にだって姿を見せる事もできる。
あの男の子とは、目が合う事が何度もあって。
いつも話をしたいと思うのだけれど、向こうが逃げてしまう。
……やはり、幽霊だから?
そう、私は妖魔人の幽霊。この館に棲みついてから、何年経ったっけ…。
たまにドア開かなくしたり、物の位置を動かしたりのイタズラをする以外は、迷惑は掛けてないつもりだ。
2階の廊下でフヨフヨ浮いてると、聞こえてきた……いつもの如く、賑やかな声。
「綺流兎ちゃ~ん、二人っきりでどっか行こう!」
「え?あたし今日は、架那に料理習う約束だから無理。」
「そんな!俺と架那と、どっちが大事なんだよ~!?」
「架那。」
「…………。」
「あはは、冗談だって!…ありゃ、夕羅?」
……本気でヘコんでる。あの人、本当に妖魔人の王なの?
綺流兎さんは、そんな王を放置して行ってしまった…。
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