☆ボク、六左衛門です。☆

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「わっ、私ですか!?」  老人は(まぎ)れもなく、この私…六左衛門を指差している。 「あ…あーはっはっはっ、(なに)ご冗談おっしゃってるんです!そんな(わけ)な…」 「いんや~、確かにこの目と耳で確認しましただ~よ~!ワシ、猫耳(ネコミミ)族ですんで、耳は()いのです~」  老人が帽子を取ると、ピョコンと可愛らしい猫耳が出た。 「…で、(なん)て言ってたか覚えてます?」  普段より一層冷めた視線の是枝さんが、老人に()く。 「覚えとるでな~。泣き叫びながら、『架那さん、自分と付き合って下さい!』とか、『好きです架那さん!毎朝、味噌汁作って下さい!』とか、『架那さん、この六左衛門を貴女(あなた)下僕(げぼく)にして下さい!』等々(などなど)~」 「ぅっぎゃーーーっ!!もう()めて下さい!!」  わ…私はただ、告白の練習をしてただけなのに!  それに熱が入って、泣き叫んでしまっただけなのに!!  聴こえてるなんて思わなかったのにぃぃぃ!!!  真っ赤な顔でおたおたしているロクを眺め、水鳥と是枝は小声で話していた。 「ロク様…涙目ですわよ」 「水鳥……あの人に、真実を伝えた方がいいと思うか?」  架那は女装した男だという事を、是枝たちは知っている。  …というか。  恐らく、里のほとんどの者は知ってる。  夕羅の命令?で、ロクにだけは内緒にしておけ……という事だった(理由:面白いから)。 「……黙っておきましょう。真実は時に残酷ですわね…」 「同感だ。」  探偵団、短時間で解散。  妖魔人の里は本日も平和である(心に大ダメージを負った者、1名を(のぞ)いては)。
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