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「可愛いざます!めっさ可愛いざます!!」
「…や…やだよ、やめてよー!」
……時々、変身の練習してる蒼大くん。なので今は子狐な姿。
そんな彼が、マダムの腕の中でもがいてる。
「この子、我が家に連れ帰っていいざますか?」
「は?」
話によると。
マダムは可愛い小動物が好きで、自宅にわんさか居るらしい。
ハムスターや子猫、子犬から、音楽家っぽい山の子リスまで…総勢99匹。
「だから記念すべき 100匹目に、子狐を頂きたいんざます!」
「『だから』じゃねぇよ!蒼大を離せ、おばちゃん!」
珍しく夕羅が蒼大くんを助けようとしてる。
あたしと架那も、説得に加わった。
「蒼大くんは狐火族であって、本当の子狐じゃないし!」
「そうよぉ、マダム!他をあたってくれない?」
「な……何ざます、皆さんで…。わかったざますわ、諦めるざます…」
マダ~ムは、ガッカリ顔で席を立つ。
が、夕羅が怒鳴った。
「…て、おい!さりげに蒼大を持ってくな!」
諦めてなかったよ、このおばちゃん!
「だって、可愛いんざますもの!今晩、抱っこして眠るざます!」
小脇に抱えられた子狐蒼大くん……確かに可愛…可哀想。
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