☆ツンデレツン道中記☆

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 火鷹…ヒュプノス…。  その名が、深く深く、私の心に刻まれた日だった………。 「…『キリカゼ』で、どうだ。」 「……はい?」  物思いにふけっていた私が火鷹様を見る。  若干(じゃっかん)照れているのか、顔と耳がほんのり赤い。 「だ…だから!お前は今から『霧風(キリカゼ)』と名乗れ。命令だ!」 「……………」  名前……名乗っていいんだ…。  …それは、私という存在を見つけてくれたみたいに思えて……。 「…気に入らないなら、自分で付けろ」  ブンブンッと頭を横に振り、下を向く。私は……、何年振りかの涙を流していた。 「……っ…あ、…あり…が……」 「(なん)だ?人の目を見てハッキリと言え」  …それも、命令でしょうか? 「…ありがとう、ございます…火鷹様……ありがとう…」 「………。」  その時の火鷹様は、初めて見る表情で。  不器用に、微笑(ほほえ)んだ…気がした。 「…この辺りから西の土地は、僕は行った事がない。霧風はあるか?」 「いいえ…ありません」 「来たいなら、来るがいい……一緒に。」  ーー…風が、吹いた。 「命令、ですか?」 「…命令だ。」  優しい風が、遠くまで吹き抜けていって。…自由に、見知らぬ地まで。  私もそんな風のように、なれるだろうか。 「火鷹様」 「(なん)だ」 「火鷹様ってクールな振りして実は◯◯ですよね。その()りに◯◯◯は立派に◯◯で…」(※自主規制が働いております。) 「キ、霧…風………(白目(しろめ))。」  爽やかに終われず、ちょっぴり(くじ)けそうな火鷹であった。
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