第2章

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重苦しい沈黙が流れる。 「それにしてもよく戻ってこれたな。一般人は出入り出来ないように、福井県の県境は封鎖されてるんだろ?」 俺は沈黙に耐え切れなくなって、口を開いたが、話かけて、熊切の実家の事を思い出した。 熊切の出身は、確か岡山で、祖父は警察官僚OBで、今は天下りで大手警備会社の顧問をしている。 父親もキャリアの県警署長で、兄も警察官という筋金入りの警察一家だった。 うちのような、新潟の田舎で細々と米作りと、農協勤めの兼業農家をやってる庶民とは、比べられない。 「こういうのは嫌だったんだが、上司にも頼まれてな、じいさんから福井県警の本部長と、警察庁に口を聞いてもらって、こっそり検問を通してもらった。」 熊切は、警察一家に育ちながら、警察という閉鎖的で官僚的な体質を嫌っているようだった。 だから、望めは簡単に警察に入れたものを、就職氷河期を自分で乗りきって、普通のサラリーマンになったんだろう。 「そろそろ昼ですし、話は飯を食いながらにしましょう。段ボールのチェックもだいたい済みましたし。」 話を真剣に聞いていたのか怪しい小津の一言に、この時だけはみんなも救われたように同意した。 そして、カツカレー、うどん、天ぷらそば…とぶつぶつ呟く小津を先導にして、俺と熊切と三谷さんは、倉庫を出てエレベーターに乗り込み、10階にある社員食堂に向かった。
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